実践問題-10


『鴨崖頼醇書翰』筆者蔵

下示の盛稿.稍(やゝ)拜閲を得て一二の愚見を付し候.嘸(さぞ)不當の事而已(のみ)に存じ奉り候.

実践問題-9の山陽手簡につゞいて鴨崖翁の手簡。
書に練達の人から見ると、鴨崖翁の手簡の手跡は甚だ佳いとのこと。その妙味を、私如き愚眼を以て解するを得ず実に残念です。
鴨崖翁の詩について、詠翁の談をこゝに書き添えて置きます。

日本人の詩でも良いのはやはり支那人が随分愛誦してゐる。頼三樹三郎の「風雨他年苔石面 誰題日本古狂生」と云ふのなどは、頗る支那で親しまれてゐたものだ。却って此の句の如きは、日本でよりも支那人の方がよく理解してゐたかもしれない。<詠而歸廬清話>