練習問題-14



『頼山陽書翰集』徳富猪一郎.木崎愛吉.光吉元次郎編

山陽翁の書翰、十一通目です。
当初は三通に止めるつもりでした。
しかし読んで行くと、どうも山陽翁の書翰は文躰・手跡共にたいへん秀れたものがあると分り、出来るだけ読んでみようと思うに至りました。


今回は母上様宛ということもあって読みやすかったです。
楽翁公に日本外史を献上したところ、褒詞を賜る、この榮耀を老母より先大人忌日に御墓に奉告、また他の御大名方に日本外史を献上しているが御國の書庫にはまだ奉納できていない、南大人はどうすべきと思うか?可能ならば伏水を通行するとき献上したい、といった文面のようです。
文面を調べると色々分ってしまうので、荒増にとゞめ。
(薄奠は墳墓を拜す、配享は祖廟に合祭す、の意か)

391字中、誤読6字(1.56%)迄に収まれば、まぁ良いでしょう。

答、解説

誤読5字(1.27%)でした。
6字以内に収まりましたが、読み誤った字を見ると不満を覚えます。

    
「被致披閲候處」、「處」字は見慣れているどころではなく、当り前の字形です。しかし、どういうわけかこの「處」字はまったく想起しませんでした。(私の中の)「處」字の閾値に達していないのです。とはいえ位置を見れば、これは「處」字だと応用を効かせるべきでした。
「差出候て」、うっかり「呈出」と誤認。
「佐一郎」、はじめは「佐」字と書き直しているように見ていましたが、人名を間違えるだろうかと考え直して見たまゝの「侑一郎」にして失敗。印刷による判別の限界です。
「寓目」、「寓内」の読み、粗忽。「内」字に見えて仕方ないのですが。
「御展閲」、そうきたかと歎息。字下の巻込みから右への流れは「歴」字に見えましたが、字中の構成は「歴」というより「展」です。そして意味からしても「展閲」にすべきところでした。