練習問題-16




『頼山陽書翰集』徳富猪一郎.木崎愛吉.光吉元次郎編

まことに清々しい気候にて、勉強の進むことこの上ない環境です。
前回、前々回と優しい練習問題を読んだ後で、今回の問題はずいぶん梃子摺りました。
前後断絶の孤立文書、文脈を掴めず...

■は降参した字です、幾ら頭を捻っても出てきませんでした。
誤読5%を超えるかもしれません。




360字中、誤読21字(5.83%)。
誤読5%を超えてしまいました。

  
上段 「木雞」画像、はじめ「鷄」字に見え、右傍が違うからと「雖」字にして誤り。
「煩公走一走」、「公に走一走を煩はし」、貴方にちょっとひとっ走りしてもらいます、くらいの意味でしょうか。この語は古典に見当たらず、どこから引っ張ってきた語ですか?
「土産」画像、「産」字の左拂いを認識できず困りました。とはいえ、たとえ左拂いが見えていたとしても、読めなかったでしょう。「土」字の補筆が微妙に右行と被っていて難解です。
「米帋弐枚」画像、これは翻刻の誤りにて、正しくは「半帋」でしょう。

   
中段 「自彼方可上候」画像、こゝは意表に出で、まるごと誤読。
「不恠(けしからす)」、これは後々まで候補でしたが、文脈をよく理解できずに捨てゝしまいました。「恠」字、大胆な草体です、なにか古典にあるのかもしれません。
「帋痛入候」画像、「痛」字掠れているため、「庚」字中のように見えてしまい、埒が明かず。
「可被下候」画像、文脈からこれで正解です。しかし、字形はどちらかといえば「可申候」。
「盆前」画像、「盆」字は癖字です。

   
翻刻の「趁」字は、「趂」字に書かれています。「珍」と「珎」と同じことです。
「附剞劂」画像、難しい語ですね。調べてみると昔からこの語あり、「剞劂」は彫刻工具を指し、転じて板を彫る意にも用いられ、こゝでは板を彫らせる=上梓しようかといった意味でしょうか。「劂」字は構成のよく分らない書かれた方です、一本線が多いような。
「岳〃翁〃」画像、この書き方は大陸の尺牘によく見られます。本邦ではあまり見られず、珍しいように思います。
下段 「暑熱」画像、「熱」字、若干掟破りの書き方です。「暑」とくれば「熱」字は読み筋だからと、筆が走ったものか。
「暑の」画像、「壽」一字の構成に見えて誤り。よく見ずとも、右横に先ほどの「暑熱」字があるので、同形であると分ります。